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Wayfair は Slack で仕事環境も快適に

「Slack はメッセージをやり取りするだけのツールではありません。自動化や AI も活用できるプラットフォームなのです」

WayfairSenior Engineer、Enterprise SolutionsTaylor Keck 氏

ここ数年、住宅の概念が根本から変化しつつあります。今ではホテルやレストラン、映画館、デイケア、オフィスなどの役割も果たすようになってきているのです。そのなかでも、1 つだけ変わらないことがあります。それは、家がどのような機能を担うようになったとしても、そこが快適に過ごせる空間であるべきだという点です。

家具・家庭用品の小売業のグローバルリーダーである Wayfair は、人々が自分にぴったり合った住環境を作れるようサポートしています。同社は 2016 年に、それまで使っていたメッセージングソフトウェアから Slack に移行し、11,000 名の従業員が 2,200 万人以上の顧客にサービスを効率よく提供できる環境を整えました。導入してまもなく、Slack は同社の業務プロセスに不可欠な存在となり、今では AI 搭載型のプラットフォームとして IT チームの迅速なインシデント解決にも活用されています。

Slack が Wayfair にもたらした影響は、インシデント管理の向上だけではありません。コーディング不要のワークフローによるタスクの自動化や、使用頻度の高いツールのインテグレーションによって、従業員は貴重な時間を節約し、より効果の大きい仕事に集中できるようになりました。さらに、同社は Slack AI のパイロットプログラムに参加し、情報の要約や従業員エクスペリエンスの向上に、生成 AI をどのように活用できるかを探っています。

Wayfair、Asad Rahman 氏

「Wayfair がグローバルな規模で拡大するなか、情報をすばやく発見できるようにすることで、メンバーが情報収集に費やす手間を減らし、成果につながる仕事により多くの時間を使えるようにしたいと考えています。Slack AI の優れた機能が、それを可能にしてくれます」

WayfairDirector of Employee TechAsad Rahman 氏

 

技術部門での業務の中断を 65% 削減

インシデントの解決にはスピードが重要です。プロセスに非効率な部分があれば、その分、解決が遅れてしまいます。そこで Wayfair は、IT 関連の問題管理に Slack の ワークフロービルダーとサードパーティアプリのコネクタを活用しました。これにより同社の IT チームでは、技術的なインシデントが月間 17 件からわずか 6 件へ減少。65% の削減を実現しました。

 

「Slack のワークフロービルダーは、チームのプロセス効率化、コラボレーション強化、生産性向上に貢献しています。タスクの自動化とシームレスなアプリの連携によって、管理業務の負担が減り、顧客やサプライヤーへの対応に集中できるようになりました」。そう話すのは、Wayfair の Director of Employee Tech を務める Asad Rahman 氏です。「当社の分析によると、ワークフロービルダーは当社で使用しているツールのなかでも特に、従業員の多様性、公平性、インクルージョンの促進に役立っています。なぜなら、このビルダーは誰でも利用できるからです。コンピューターサイエンスの学位などは必要ありません。好奇心さえあれば本当に誰でも使えるのです」

ワークフローは Wayfair のインシデント管理の中核をなす機能です。重要なインシデントの発生時には、#major-incident-updates チャンネルがハブの役割を果たします。ここに最新情報が自動かつリアルタイムに集められることで、全員が認識を共有でき、IT スペシャリストはインシデント解決に向けてすばやく調整を行えます。

Slack では、カスタムボットを作るのも簡単です。Wayfair のチームも、サービスの情報やミーティングのリンクを共有する WOCbot というボットを作成しています。これにより、技術担当者はインシデント発生時にリアルタイムで会話を始められます。ときには動画を使ってのやり取りが必要になることもありますが、それもすべて Slack から直接開始できます。

Wayfair での革新はそれだけではありません。PagerDutyDatadog といったアプリを Slack のワークスペースと連携させたことで、IT チームは必要に応じて即座にアクションを起こせるようになりました。具体的には、Datadog が問題を発見すると、その影響範囲に応じて P1 から P5 までの優先度をつけた PagerDuty のインシデントが作成されます。エンジニアはスラッシュコマンド /pd で PagerDuty を呼び出し、ワークフローを使ってそのインシデント専用のチャンネルを立ち上げます。このチャンネルには、必要なメンバーが自動で追加されます。

また、Slack チャンネルから Google スプレッドシートを更新して、インシデントごとのデータをまとめる、というプロセスも自動化されています。アクセスしやすいこのスプレッドシートには、Slack 内の各種レポートへのリンクも集約。この仕組みにより、さまざまなスレッドを探し回って情報を集める必要がなくなりました。このようにインシデント対応プロセスを効率化したことで、情報が適切に文書化され、煩雑でミスも起こりやすい手作業によるデータ入力からも解放されました。

Wayfair でワークフローソリューションを担当する Senior Engineer の Taylor Keck 氏はこう話します。「問題報告用のテンプレートを作成したことで、必要な情報のすべてを最初の段階から受け取れるようになりました。問題の報告に使われたメッセージも正確に追跡できます」

その結果、Wayfair の IT チームは、エンドユーザーのインシデント解決にかかる時間を平均で 20% 短縮(27 時間から 21 時間に減少)しました。また、通話やチャットなどによる迅速なやり取りにより、一次解決率 85% 以上を実現しています。何よりすばらしいのは、従業員向けのソフトウェアへの支出を 7% 削減(昨年)しながら、この成果を達成したことです。

「ハドルミーティングのおかげで、ちょっとした会話をすぐに始められるようになりました。会議のリンクなどを送る必要はなく、DM からすぐに開始できます。このやり方が定番になりましたね」

WayfairSenior Engineer、Enterprise SolutionsTaylor Keck 氏

自動化とインテグレーションで従業員の貴重な時間を節約

Wayfair は、組織の複雑なニーズに、整理された形で対応する方法を求めていました。そこで大規模組織向けの Slack ソリューション Enterprise Grid を採用。以下のような多岐にわたるチームで Slack のワークスペースを活用できるようになりました。

  • 営業部門 : マーケティングチーム、営業チーム
  • 運用部門 : フルフィルメントチーム
  • エンタープライズ部門 : 法務、人材、財務、コミュニケーション、不動産の各チーム
  • 技術部門 : IT チーム(店舗・サプライチェーン・コラボレーション用のツールを管理)

IT 部門以外にも、社内の各チームがワークフロービルダーテンプレートを利用して、反復的なタスクを自動化しています。ワークフロービルダーでは、技術的な経験を問わず、誰もがワークフローの作成やカスタマイズができるため、数千人の従業員の研修、ヘルプデスクのリクエスト対応、迅速な承認など、さまざまな場面で不可欠なツールになっています。実際に Wayfair の従業員によって、これまでに 2,300 件のワークフローが作成されています。

ワークフロービルダーのテンプレート

自動化を進めることは、業務の効率化だけでなく、イノベーションと継続的な改善を重視する組織文化の醸成にも役立っています。Wayfair でトレーニング、コミュニケーション、エンゲージメント戦略を担当する Senior Manager の Samantha Simmons 氏はこう話します。「ワークフロービルダーのような Slack の動的な機能によって、従業員エンゲージメントを高める施策も充実します。新たな可能性を見出し、魅力的な方法でコラボレーションできるからです。例えば、私たちは、各チームで成果を認め合う文化を推進するためにワークフローを活用しています」

「Slack のワークフロービルダーは、チームのプロセス効率化、コラボレーション強化、生産性向上に貢献しています。タスクの自動化とシームレスなアプリの連携によって、管理業務の負担が減り、顧客やサプライヤーへの対応に集中できるようになりました」

WayfairDirector of Employee TechAsad Rahman 氏

Wayfair では、個人間でも、チームや社内全体でも、成果を認め合う文化が浸透しています。大規模な組織になると、誰かの功績を称えたいと思っても、それを伝えるべき上司を探し出すことさえ簡単でないことがあります。そこで役に立つのが Slack Atlas です。これは変更が動的に反映される新しい形の従業員名簿で、従来の組織図よりも信頼性の高い情報源として活用できます。誰が上司で誰が部下なのかといった関係性をはじめ、メンバーの貴重な背景情報を確認できます。

Slack のハドルミーティングも、Wayfair にとって革新的だった機能です。正式な会議を設定したり、連絡先を調べたりする必要なく、Slack からワンクリックでハドルミーティングを立ち上げて、すぐに会話を開始できます。「ハドルミーティングのおかげで、ちょっとした会話をすぐに始められるようになりました。会議のリンクなどを送る必要はなく、DM からすぐに開始できます。このやり方が定番になりましたね」と Keck 氏は言います。

このようなコミュニケーションの円滑化により、不要なやり取りが減り、チームは迅速に意思決定を行って、すぐにアクションを起こせるようになりました。「公式にはまだ会議ソフトウェアも使われていますが、私にとってはハドルミーティングやクリップが理にかなっています。人間的なやり取りができるのがいいですね」と Rahman 氏は話します。

Slack AI で従業員の仕事をより速く、よりスマートに

Wayfair は Slack の生成 AI 機能を活用して、チームの生産性をさらに高めようとしています。Slack AI のパイロットプログラムにおいて、同社は次の 3 つの強力な AI 機能を試しました。

  • 回答の検索 : キーワードや自然な文章での質問に対して、Slack 内のデータに基づいた答えが即座に得られます。
  • 会話の要約 : チャンネルやスレッドのハイライトを、ワンクリックで取得できます。
  • まとめ : 選択したチャンネル内での動きについて、カスタマイズされたダイジェストが毎日届きます。

Wayfair は自社に蓄積されたデータを、さらに効果的に活用しようとしています。具体的には、Slack AI により、従業員は検索バーに特定のキーワードを入力する代わりに、会話形式で簡単に質問して、すぐに欲しい情報が得られるようになります。例えば、「有給休暇」と検索する代わりに、「有給休暇の残りを確認する方法は?」と尋ねると、求めていた答えが瞬時に返ってきます。長いメッセージスレッド内を探し回ることなく質問への回答が見つかるため、カスタマーサポート用のチャンネルなどでも便利です。

「Slack AI を使えば、あらゆるチャンネルから正確な情報がすぐに得られます。手間のかかる情報収集から解放されることは、従業員の満足度や生産性の向上につながります」

WayfairSenior Engineer、Enterprise SolutionsTaylor Keck 氏

また、Slack AI によるチャンネルやスレッドの会話の要約は、事後調査や、組織内でのナレッジ共有に大きく役立つ可能性があります。これにより、チームメンバーはインシデントの背景をすばやく把握し、分析に役立てることができます。会話から重要なテーマや知見をすぐに抽出できれば、インシデント解決のスピードアップにつながるかもしれません。

組織内でのナレッジの保存は、口で言うほど簡単ではありません。特に過去のデータから微妙なニュアンスの情報を見つけ出すのは、至難の業です。そこで力を発揮するのが Slack AI です。Wayfair の IT チームでも次のような事例がありました。Keck 氏は、あるベンダーとの契約更新を行う必要に迫られていました。通常このプロセスでは、多くのドキュメントを詳細に確認し、複数の担当者にさまざまな問い合わせをしなければなりません。しかし、この時は期限が迫っていました。そこで Slack AI に「契約の最新状況は?」と尋ねたところ、ほかの人に頼ることなく、必要な情報がすぐに得られたのです。

Slack AI のデモ

「Slack AI を使えば、あらゆるチャンネルから正確な情報がすぐに得られます。手間のかかる情報収集から解放されることは、従業員の満足度や生産性の向上につながります」と Keck 氏は話します。

今後は、複数のチャンネルのダイジェストを毎日届けてくれる「まとめ」機能によって、頻繁にアクセスすることのない分野からの重要情報も把握できるようになるでしょう。

Slack で未来への準備を整える

Slack のコーディング不要の自動化を活用して、Wayfair の IT チームはインシデント対応プロセスを効率化して、ダウンタイムを短縮し、従業員の生産性を大規模に向上させています。さらに、Slack AI のパイロット版を使って、生成 AI の力をチームの生産性アップに活かしています。

「Slack はメッセージをやり取りするだけのツールではありません。自動化や AI も活用できるプラットフォームなのです」と Keck 氏は話します。