生産性向上とは?そのメリットや取り組み方を紹介

生産性向上とは?そのメリットや取り組み方を紹介

企業の成長・発展を目指す上で重要なのが、生産性の向上です。生産性向上とは何か、その必要性やメリットのほか、具体的な取り組み方について解説します。

Slack チーム一同作成2022年12月7日

少子高齢化の加速による労働人口の減少や国際競争力の低下に歯止めがかからない状況の中、企業はいかに生産性を向上させられるかが大きな課題となっています。生産性向上は企業が存続し、発展を目指す上でとても重要な要素であり、今後、すべての企業が直面していくであろう課題です。

この記事では、生産性向上の重要性やメリットのほか、向上に向けた具体的な取り組み方などについて解説します。

企業が存続・発展を目指す上で欠かせない生産性向上

生産性向上とは、インプットに対するアウトプットの比率を増やすことです。インプットとは人や設備、時間などの資源投入を意味し、アウトプットは生産量(成果)や付加価値を意味します。

つまり、投入した資源に対し、どれだけの成果や付加価値を生み出せたかが生産性であり、そのアウトプットを向上させることが生産性向上だといえます。

企業が生産を行うには、機械をはじめとした諸設備や事業拠点、原材料、エネルギー、それらを駆使する人間といったリソースが欠かせません。これは製品など、有形の物を生み出す場合、サービスのような無形のものを生み出す場合を問いません。ビジネスの世界では、これら生産活動に投じられるものを「生産要素」と呼んでおり、生産性とは、この生産要素の投入によって生み出される製品やサービスとの相対的な割合を意味するものだと言えます。

生産性は、下記のような計算式で求めることができます。

なぜ生産性向上が必要なのか

生産性向上は多くの企業で重要な課題ではありますが、なぜ、生産性を向上させることが大切なのでしょうか。

その理由のひとつとして、生産性の向上が企業の利益に直結することが挙げられます。さらに、生産性が向上すれば、企業はより少ない投資で大きな成果を生み出すことが可能となります。そして、それを維持し、積み重ねていくことで企業が成長していくことができるのです。

企業は常にこの生産性を意識し、向上に取り組んでいく必要があるといえるでしょう。

生産性には2つの種類がある

生産性は大きく分けて、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」に分かれています。これらは製造業だけでなく、営業や開発はじめ、労働によって成果を生み出すあらゆる業種に用いられる重要な指標です。ここでは、それぞれの生産性についてご説明します。

物的労働生産性

物的労働生産性とは、労働者1人あたり、どれくらいの生産量を生み出したかを表したもの。生産個数や生産量などの物理的な量をアウトプットとし、このアウトプットを得るための労働量をインプットとする考え方です。

物的労働生産性は、下記のような計算式で求められます。

付加価値労働生産性

付加価値労働生産性は、労働者1人あたり、どれぐらいの粗利を生み出したかを表したもの。この粗利が付加価値であり、アウトプットです。このアウトプットを得るために必要としたインプットを労働量とする考え方となります。

付加価値労働生産性は、下記のような計算式で求めることが可能です。

生産性向上で生まれるメリット

生産性とは、労働者 1 人あたりがどれだけの生産量や粗利を生み出したのかを意味する指標です。これを向上させることで、企業にさまざまなメリットをもたらします。続いては、生産性向上で生まれるメリットについて具体的にご説明します。

労働力不足問題の解決

生産性向上を図ることで、労働者 1 人あたりが生み出す生産量や粗利が向上し、結果として限られた労働力で確かな成果を生み出せるようになります。近年は少子高齢化を一因とした労働力不足が大きな社会的課題となっていることから、生産性向上は労働力不足を解決するにあたっても効果的な取り組みだといえます。

コスト削減効果

生産性向上を図ることで、少ない労働力で確かな成果を生み出せるようになれば、人件費などのコストの削減につながります。

削減できた分を、従業員に向けての研修や教育といった福利厚生、設備投資などに使えば、さらなる生産性向上へつなげることもできるでしょう。

働き方改革の実現

生産性が向上することで、従業員の労働時間を削減することも可能です。その結果、従業員のワークライフバランスの向上へとつなげていくことができます。

ワークライフバランスは、近年、政府主導によって推進される働き方改革においても重要なキーワードに掲げられていることから、従業員にとって働きやすい環境を整備するという目的でも生産性向上は大きな意義のある取り組みだといえます。

生産性向上に向けた取り組み

生産性向上を目指すには、具体的にどのようなことに取り組めばいいのでしょうか。続いては、生産性向上を実現する上で、特に効果的だと思える取り組みについて解説します。

業務の効率化

生産性向上を実現するには、業務を効率化することが重要です。通常の業務を、業務可視化ツールなどを用いて見える化し、その中から不要なものをピックアップしていくことが、その第一歩です。

そのうえで、不要なものに対して効果的な解決法を考え、効率化を進めていきます。生産性を向上させるための業務効率化は、下記のような手順で進めるといいでしょう。

  • 業務プロセスの可視化

まずは、日頃行っている業務のどこにボトルネックがあるかを明確化するために、業務プロセスを可視化します。業務プロセスの可視化とは目に見えないもの、または目に見えにくいものを見えるようにすることであり、それによって、日常的に見逃していたような小さな無駄を浮き彫りにすることが可能となります。

例えば、業務の流れを、図形を用いたフローチャートや表を用いて視覚的にわかりやすい形にするほか、ビジネスツールの一種である業務可視化ツールを使って業務プロセスを明確化する方法があります。

  • 無駄の削減

業務プロセスの可視化を通じて、浮き彫りになった無駄な業務を削減していく取り組みに移ります。無駄は 1 つだけではなく、工程・時間・人員・コストなど、業務のさまざまなプロセスにおいて無駄があります。業務内容や取り組み方によっては、さらに細分化して可視化することで、より小さな無駄を洗い出すことが可能です。

部署別の例を挙げていくと、生産部門なら、在庫・作りすぎ・加工のしすぎといった無駄が考えられます。営業部門なら、見込みのない客への営業活動・営業以外の作業の無駄などが考えられるでしょう。こうした無駄を明確にし、さらに優先順位を決めることで、無駄削減への取り組みが行いやすくなります。

  • 業務の手順化

業務プロセスの可視化を通じて無駄を見つけ、それを削減したら、次のステップとして、業務の手順化を行うといいでしょう。それまで感覚的に行っていた業務を手順化することで、次にするべき業務の予測を立てやすくなります。また、トラブルなどイレギュラーな事態が発生した際も、解決のためには何をすべきかといった対策も講じやすくなる場合があります。

さらに、業務を手順化することで、誰もが同じプロセスとクオリティで仕事をすることが可能となるため、この仕事はこの人でなければできないというような、業務の属人化を防ぐことにもつながります。

業務のデジタル化

業務の効率化の次の取り組みとして、業務のデジタル化が挙げられます。デジタル化とは、これまで紙で行っていた業務をペーパーレス化してコストの無駄を省いたり、ビジネスツールを導入して定型的な作業を自動化したりするといったことです。

例えば、事務作業などで定型的な作業が多ければ、それらを RPA ( Robotic Process Automation :ロボティックプロセスオートメーション)などの技術を用いて自動化することで作業効率を上げることができます。在庫管理をはじめとした数値管理なども、システム化することで作業効率が向上するでしょう。

製造業ならば FA ( Factory Automation :ファクトリーオートメーション)を導入することで業務の効率化や省人化を図ることができ、結果として生産性向上を実現することができます。

コミュニケーション促進

生産性向上への取り組みには、コミュニケーション促進も効果的です。従業員同士が常日頃から活発にコミュニケーションをとり合い、情報共有を行うことで、誰かがトラブルに遭遇するような場面でも、迅速にサポートできます。また、コミュニケーション・情報共有がなされていれば、業務の失敗におけるリカバリーもスムーズです。

さらに、従業員同士がそれぞれ、お互いのために力を尽くしたいという意識も生まれ、チームワーク向上へと結びついていくでしょう。チームワークが向上することで、生産性も向上していくという好循環が生まれる可能性が高くなります。

従業員のスキルアップサポート

従業員のスキルアップも生産性向上を後押しします。従業員のスキルアップのための研修やセミナーを開催したり、資格取得へ向けた支援制度を充実させたりするなど、従業員が学び・向上する機会を設けることも効果的です。

さらに、従業員が取得した資格のグレードに応じた手当なども支給するなどして、従業員のモチベーションを上げていくのも生産性を向上させる方法のひとつです。

リモートワーク導入時に懸念される問題点と解決策 

最近では、リモートワーク(テレワーク)も浸透しつつありますが、それでもリモートワークの導入は生産性を下げるのではないかと懸念している人も少なくありません。しかし、その懸念は、少しの工夫で解消される場合も多くあるのです。

続いては、リモートワーク導入の際に懸念される問題点と、その解決策を見ていきましょう。

勤務環境が整っていない:メンバーのリモートワーク環境をまず把握

リモートワークの生産性が上がらない理由として、「勤務環境が整っていない」ことを挙げる人は多いようです。その一方で、リモートワークなら、業務に集中している最中に、突然声をかけられたり、オフィスの喧噪が気になったりすることがないため、集中しやすくなったという声も聞かれます。仕事に集中できる環境が整っているかどうかが、リモートワークを成功させる前提といえるのかもしれません。

メンバーのリモートワーク環境をサポートするには、メンバーそれぞれの勤務環境を把握することが重要です。そこでおすすめなのが、チームメンバーの環境についてアンケートをとることです。

「仕事に使える場所はあるか」「集中できない時間帯はあるか」「 Wi-Fi 環境について」など、リモートワークに関する質問に加え、リモートワークについての不安や相談を自由に書ける欄も設けましょう。

必要に応じて個別にヒアリングする機会を設けることで、そのメンバーの問題点がより詳しくわかります。状況がわかれば、サポートすべきことも明確になります。

IT 環境整備が不十分:便利なツールをどんどん取り入れる

リモートワークを導入した企業の従業員で、「IT 環境の整備不足」を感じる人も少なくありません。この問題は、リモートワークが長期化するほど深刻化する可能性があります。

よくある問題としては、オフィス外での仕事の進め方や、社内の情報・ナレッジへのアクセス、もしくはセキュリティ確保などが考えられます。このような問題への対策として検討したいのが、仕事のさまざまな側面をカバーできるビジネスツールの活用です。

リモートワークを支えるツールは、勤怠管理から決済業務など、さまざまな目的に対応したものが存在し、日々進化しています。目的に合ったツールを選ぶことが、生産性の向上につながるといえるでしょう。

 

従業員の管理がしづらい:リーダーの管理だけに頼らない自律的なチームを作る

リモートワークの浸透によって、中には「従業員の管理がしづらくなった」と感じている企業のリーダーもいるかもしれません。物理的に離れて働くことで、部下の働きぶりがわかりづらくなる可能性はあるでしょう。 

独立研究家・著作家・パブリックスピーカーの山口周さんは、リモートワークであっても、チームが生産性やパフォーマンスを上げるためには、「いつ・どのような成果物を求めているのか期待値を伝えて任せるマネジメント」が重要だと話しています。

メンバーが別々の場所で働くリモートワークでは、リーダーがすべてを細かく管理するのは現実的ではありませんし、過干渉は、メンバーのモチベーションをそぐことにもつながりかねません。リーダーの管理だけに頼らず、メンバー自身が自律的に動けるチームづくりを目指すことが大切なのです。

そうしたチームづくりのためには、コミュニケーションをオープンにしておくこともおすすめです。例えば、ツール上でメンバーがオープンにやりとりしながら仕事を進められれば、リーダーは誰が何の仕事に取り組んでいるのかリアルタイムで知ることができます。離れた場所で、ある程度の判断をメンバーに任せながらも、チームの動きを把握することができるのです。

間違いが起こりそうな場合や、方向性にずれが出そうな場合も、必要であればリーダーが軌道修正できます。メンバー同士で理解のずれに気づき、助け合うことも可能になります。

 

コミュニケーションがとりづらい:リモートワークに合うコミュニケーションを取り入れる 

リモートワーク導入で、「コミュニケーションがとりづらい」と感じている人もいるのではないでしょうか。オフィスでの何気ない雑談や、対面での気軽な相談ができないことがその背景にあるようです。一方で、「以前と変わらない」と考えている人もいます。同じリモートワークでもコミュニケーションへの向き合い方に違いがあるのかもしれません。

リモートワークでのコミュニケーションで大切なのは、オフィスでの交流の在り方にこだわらず、リモートワークに合った方法を取り入れること。関係者全員が見るツール上で自分のステータスが一目でわかるようにするのもおすすめです。「作業に集中しています」や「子供の送り迎え中」などを名前の横に表示しておけば、メッセージにすぐに返信できない状況であることを周囲に伝えることができます。リモートワークに合った絵文字をステータスに使うといった、遊び心を加えるのもひとつの方法です。

リモートワーク時には、オンラインのコミュニケーションの場がメンバーにとっての新しい職場ともいえます。状況に適した方法を取り入れることで、リモートワークならではのコミュニケーションの楽しさが芽生えてくるかもしれません。

リモートワークの導入は、その環境や取り組み方次第で生産性を上げるきっかけにも、下げるきっかけにもなります。環境をしっかり整え、働き方を適宜アップデートすることで、リモートワーク導入がもたらすメリットをより強く感じられるでしょう。

Slack を導入して生産性を向上させる

ビジネスチャットツールとしても人気のある Slack を導入すれば、円滑なコミュニケーション環境を実現するとともに、業務の効率化が図れるため、生産性向上に効果的です。

ここでは、 Slack がどのように生産性向上に貢献できるかについてご説明します。

コミュニケーションの促進が図れる

Slack は、複数人でコミュニケーションを行うグループチャット、 1 対 1でコミュニケーションを行うダイレクトメッセージ、音声でコミュニケーションを行うハドルミーティング、映像・音声・チャットでコミュニケーションを行うビデオ会議と、多彩なコミュニケーション機能を備えており、あらゆる状況や規模に応じて、最適なコミュニケーションを図ることができます。

特に、昨今は新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークを導入する企業も多く、そうした環境でいかに生産性向上を図っていくかということも大きな課題となっていることから、 Slack の導入は大きな効果があるといえるでしょう。

外部ツールとの連携で業務プロセスの可視化が可能

Slack は、ビジネスシーンで使うことを想定して開発されているため、さまざまな外部サービスと連携することが可能です。ビジネスツールと連携させることで、タスク管理やスケジュール管理はもちろん、生産性向上において重要である業務プロセスの可視化も可能です。 Slack を複数のビジネスツールのプラットフォームとして使うことで、ほかのツールをいちいち立ち上げる必要がないため、業務効率も向上します。

なお、ビジネスツールを導入する際は、目的ごとに 1 つに決めることも重要です。例えば、プロジェクト管理なら ASANA Trello 、ファイル管理なら Dropbox Slack 用 Box などがあり、同じ目的のツールでも、それぞれ機能が異なります。自社が本当に必要な機能は何かを見極めて選択することが重要です。そして、必要なツールを決めたら、それらを 1 つのプラットフォームとして、 Slack に連携させておくと、情報の錯綜を防ぎ、業務効率化につながります。

また、 Slack は、繰り返し発生する定型業務を自動化する「ワークフロービルダー」という機能も備えており、手軽に業務の仕組み化を行うことができます。PollySimple Poll といったアプリをインストールすれば、社内アンケートも簡単に作成可能です。 Slack は、生産性向上を目指す上で、頼れるプラットフォームとなってくれるでしょう。

長時間の会議も、事前準備の一工夫で生産性がアップ

ウェブ会議であろうと対面の会議であろうと、ブレーンストーミングには時間がかかります。そこで、事前準備として Slack で専用のスレッドを立てておくことで、会議までの隙間時間を活用できます。ちょっとしたときに思いついたアイデアを、忘れないうちに該当スレッドに投稿しておいたり、ほかのメンバーが投稿したアイデアからさらなるアイデアを思いついたりと、会議前にブレーンストーミングを始めておくことで、会議の時間を短縮することも可能です。

生産性向上を意識して業務に取り組んでいこう

今後、少子高齢化が加速し、労働力不足がより深刻な社会問題となっていく中で、生産性向上の重要性はさらに高まっていくことが考えられます。こうした取り組みは問題が顕在化してからではなく、潜在的な段階から始めることで、いざというときに効果を発揮します。まずは、自社の生産性を向上させるためにどのような取り組みをするべきか、検討を始めてみてはいかがでしょうか。

その際、 Slack のような業務効率を向上させるためのツールの導入なども検討に含めると、より高度な生産性向上へのアプローチが行えるでしょう。

よくある質問

生産性とは、労働者 1 人あたりがどれだけの生産量や粗利を生み出したのかを意味する指標です。生産性向上を図ることで、労働者 1 人あたりが生み出す生産量や粗利が向上し、結果として限られた労働力で確かな成果を生み出せるようになります。少ない労働力で確かな成果を生み出せるようになれば、人件費などのコストの削減につながります。生産性の向上は、従業員の労働時間を削減にもつながります。その結果、従業員のワークライフバランスの向上へとつなげていくことができます
生産性向上を実現するには、業務を効率化することが重要です。通常の業務を、業務可視化ツールなどを用いて見える化することが、その第一歩です。業務の効率化の次の取り組みとして、業務のデジタル化が挙げられます。デジタル化とは、これまで紙で行っていた業務をペーパーレス化してコストの無駄を省いたり、ビジネスツールを導入して定型的な作業を自動化したりすることです。生産性向上への取り組みには、コミュニケーション促進や従業員のスキルアップも効果的です。

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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