Slack と Google Chat は両方ともチームメッセージング分野の中心的なアプリですが、それぞれ異なる設計思想にもとづいて構築されています。
Google Chat は Google Workspace 内のシンプルなメッセージングツールです。普段から主に Gmail、Google ドキュメント、Google Meet を使っている場合に適しています。Slack は、技術スタック全体で人、ツール、ワークフローをつなぐように設計された総合的な Work OS(仕事の基本システム)です。チームが普段どのツールを使っていても、会話、アプリ、自動化をすべて 1 か所に集約できます。
Slack には柔軟性、直感的なデザイン、豊富なインテグレーションが備わっているため、ほとんどのチームにとって Slack は有力な選択肢となります。ただし、Google Workspace 内だけで業務が完結する組織であれば、Google Chat が適しているかもしれません。ここでは、特に重要な機能について 2 つのプラットフォームを比較します。
Slack と Google Chat の比較の概要
Slack と Google Chat では、チームのコミュニケーションへのアプローチが異なります。Slack は、会話、アプリ、自動化されたワークフローをまとめる一元的なハブとして機能します。数千種類ものインテグレーションや、Slack コネクトによる社外とのコラボレーション、見逃した情報の把握に役立つ AI など、複数のツールを使い分けながらプロジェクトを迅速に進めるチーム向けに構築されています。
Google Chat は Google Workspace 内にあり、Gmail、Google ドライブ、Google ドキュメント、Google Meet とネイティブに連携します。すでに Google のエコシステムを利用しているチームであれば、設定の手間を最小限に抑え、使い方をすぐにマスターできるインターフェイスでシンプルなメッセージングを利用できます。
| Slack | Google Chat | |
|---|---|---|
| 主要な機能 | チャンネル、スレッド、ハドルミーティング、クリップ、canvas、Slack コネクト、ワークフロービルダー | インラインスレッド機能つきのスペース、ダイレクトメッセージ、タスク、Google ドライブからのネイティブなファイル共有 |
| インテグレーション | 2,600 種類以上のサードパーティー製アプリ(すべてのチャンネルで一貫して利用可能) | ネイティブの Workspace アプリに加え、Workspace Marketplace でサードパーティー製アプリを提供(種類は現在も増加中) |
| ネイティブ AI | すべての有料プランで AI による要約とまとめを利用可能。ビジネスプラスプランと Enterprise+ プランでは Slackbot に加えワークフローと検索を利用可能。Agentforce は別料金 | Business Standard 以上のプランで Gemini による要約と下書き作成を利用可能 |
| 検索 | メッセージ、ファイル、連携アプリを対象としたエンタープライズ検索 | 演算子を使用したメッセージとファイルの検索(範囲は Google Chat 内のみ) |
| セキュリティとプライバシー | 保存時と転送時の暗号化、EKM、FedRAMP Moderate(GovSlack は FedRAMP High)、SOC 2、HIPAA、ISO 27001 | 保存時と転送時の暗号化、FedRAMP High、SOC、HIPAA、ISO 27001 |
| 料金プラン | フリープラン、有料プラン(1 ユーザーあたり月額 $10 未満から約 $20 まで) | 個人の Google アカウントでは無料、Workspace のプランは 1 ユーザーあたり月額約 $7 から $20 以上まで |
Slack が優れている点
Slack は、複数のツールやタイムゾーン、組織の枠を越えて活動するチーム向けに構築されています。Slack のインテグレーションを使えば、CRM やプロジェクトトラッカーからデザインツール、アナリティクスダッシュボードまで、2,600 種類以上のアプリと連携して、最新情報を自然に会話の中に組み込むことができます。スレッド形式のチャンネルで会話を整理できるほか、Slack AI による要約やまとめ、インテリジェントな検索で状況を把握できます。ワークフロービルダーを利用すれば、コードを書かずに誰でも定型業務を自動化でき、Slack コネクトでは、外部パートナーとの横断的な連携もチームメンバーとのメッセージのやり取りと同じくらい簡単に行うことができます。
Google Chat が優れている点
Google Chat は、普段から Google Workspace を利用しているチームに適しています。Gmail、Google ドライブ、Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google Meet とネイティブに連携しているため、会話を離れることなくドキュメントを共有したり、ビデオ通話を開始したりできます。スペースでは、インラインスレッドやファイルの共有、タスクの割り当てを使用して、進行中のプロジェクトを整理できます。すでに組織で Workspace を契約していれば、Google Chat を追加費用なしで利用でき、シンプルなインターフェイスで迷わず操作できます。
Slack と Google Chat の比較 : インターフェイス
Slack と Google Chat を比較すると、柔軟性に違いがあることがわかります。Slack では、チャンネルを中心に構成された高度にカスタマイズ可能なワークスペースを利用できます。一方、Google Chat は Gmail に会話が組み込まれたシンプルな構成となっています。
Slack のサイドバーは自由自在に整理できます。カスタムセクションを作成し、チャンネルを使いやすい順序に並べ替えられるほか、会話の通知設定で、不要な会話をミュートしたり、重要な会話にスターを付けたりすることができます。複数のワークスペースを使えば、ログアウトせずにプロジェクトやクライアントアカウントを切り替えられます。インテグレーションはどのチャンネルタイプでも一貫して機能するため、Slack 内のどこでもツールを同じように使えます。
Google Chat では、会話はスペースとダイレクトメッセージによって整理され、Google Chat 自体または Gmail のサイドバーからアクセスできます。スペースはインラインスレッドをサポートしており、特定のメッセージへの返信も、メインの会話への投稿も可能です。インターフェイスはすっきりしていて最小限に抑えられており、使い方もすぐに覚えられますが、レイアウトのカスタマイズやカスタムグループ作成のオプションは限られています。
Slack と Google Chat の比較 : メッセージング
Slack のチャンネルとスレッドのモデルは、チーム間の整理された非同期型コミュニケーションに合わせて設計されています。一方 Google Chat のインラインスレッド機能つきのスペースは、より気軽なリアルタイムのメッセージのやり取りに適しています。日々の業務での具体的な違いについて以下で説明します。
- スレッドと会話の流れ。Slack では、メインチャンネルを収拾がつかない状態にすることなく、どのメッセージからでもスレッドを開始できます。スレッドで結論が出れば、それをチャンネルに再投稿して全員と共有できます。Google Chat のスペースでもスレッド形式の返信を利用できますが、返信はネストされたままになるため、重要なポイントをメインの会話に戻して表示するオプションはありません。
- 非同期のワークフロー。Slack は、異なるタイムゾーンで活動するチームを想定して構築されています。ロンドンのプロダクトマネージャーは、東京のチームが夜間に行った会話を確認し、スレッドで返信して適切なメンバーに通知を送ることができます。これらすべてを、会議のスケジュールを設定することなく行えます。Google Chat でも同様のワークフローは可能ですが、リアルタイムのやり取りに重点が置かれた設計となっています。
- 外部とのコラボレーション。Slack コネクトを使えば、組織外の人と共有されたチャンネルを作成し、メッセージの送受信、ファイル共有、アプリインテグレーションの機能を完全に利用できます。Google Chat も外部スペースをサポートしていますが、ゲストには Google アカウントが必要です。また、スペース内でのアプリの操作など一部の機能はゲストには提供されません。さらに、外部アクセスの設定はスペース作成時に行う必要があり、後からの変更は難しい場合があります。
- 会話の整理。Slack では、職場のコミュニケーション用のチャンネルをサイドバーのカスタムセクションに整理できるため、クライアント業務と社内プロジェクトを簡単に分けることができます。Google Chat でも会話のピン留めや並べ替えは可能ですが、全体の配置をカスタマイズする方法は限られています。
Slack と Google Chat の比較 : インテグレーション
さまざまなツールを使って仕事を進めているチームでは、インテグレーションの有無が重要になります。Slack と Google Chat はどちらもサードパーティー製アプリと連携できますが、その範囲と一貫性には違いがあります。
Slack のインテグレーションモデル
2,600 種類以上のサードパーティー製アプリを Slack と連携でき、それらのインテグレーションはすべてのチャンネル、DM、自動化プロセスで機能します。プロジェクトトラッカー、CRM、デザインツール、人事システム、アナリティクスダッシュボードを会話の中に組み込めるため、タブを切り替えずに最新情報を確認したり、アクションを実行したりできます。ネイティブのワークフロービルダーによるノーコードの自動化を活用すれば、定型業務をトリガーベースのワークフローに変換できます。チームのプロダクティビティツールが複数のプラットフォームに分散していても、Slack ならそれらを 1 つにまとめられます。
Google Chat と Workspace のエコシステム
Google Chat は、Gmail、Google ドライブ、Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google カレンダー、Google Meet といった Workspace のスイート全体とネイティブに連携します。また、Workspace Marketplace を通じて提供されるサードパーティー製アプリも増えています。また、Google は、自然言語を使用して AI を活用した自動化エージェントを構築できるノーコードツール Workspace Studio や、Google Chat のカスタムアプリを構築できる AppSheet も展開しています。これらのツールにより、Chat ユーザーは Google のエコシステムを離れることなく、さまざまな方法で業務を自動化できます。
Slack と Google Chat の比較 : 検索
Slack の検索では、1 つの検索バーからメッセージ、ファイル、連携アプリを対象に検索でき、会話の履歴を検索可能な組織のナレッジとして活用できます。Google Chat の検索はメッセージや共有ファイルを対象としており、便利なフィルタリングオプションがありますが、Google Chat 以外のデータは検索できません。
Slack では、メンバー、チャンネル、日付、ファイルタイプで結果を絞り込めます。Slack AI を使えばさらに詳しい検索が可能で、自然言語で質問するとワークスペースの会話履歴にもとづいた回答を取得できます。また、Slack は連携したサードパーティー製アプリのコンテンツもメッセージやファイルと一緒にインデックス化するため、検索バーから離れることなく、プロジェクトのチケットや CRM のレコード、共有ドキュメントを一度に探し出せます。ビジネス用のメッセージプラットフォームをナレッジベースとしても活用するなら、Slack が最適です。
Google Chat の検索演算子を使用すれば、送信者、日付範囲、ファイルタイプ、メンション、DM にあるメッセージかスペースにあるメッセージか、といった条件でフィルタリングできます。検索チップによる視覚的なクイックフィルターも利用でき、関連度順や新しい順に結果を並べ替えることもできます。ただし、検索対象は Google Chat 内のメッセージや共有ファイルに限られ、ほかの Workspace アプリは検索されません。
Slack と Google Chat の比較 : AI 機能
どちらのプラットフォームも AI を搭載していますが、そのアプローチは異なります。Slack では、すべての有料プランで要約、まとめ、検索を利用でき、ビジネスプラスプランと Enterprise+ プランでは Slackbot の使用や、AI を活用したワークフローの生成も可能です。Google Chat の Gemini を活用した AI は Business Standard プラン以上で利用でき、それよりも下のプランではアクセスが制限されます。
Slack では、Slackbot がスレッドの要約や毎日のまとめの作成、ワークスペースの履歴に関する質問への回答、ユーザーのトーンに合わせたメッセージの下書き作成を実行できます。Slackbot の本質は仕事のためのパーソナル AI エージェントであり、会話、ファイル、連携アプリなど、ユーザーにアクセス権があるあらゆるものの背景情報にもとづいて機能します。エンタープライズレベルでは、Agentforce によって自律型エージェントを Slack に組み込み、顧客のケースの優先順位づけやナレッジの取得、ワークフローの実行などのタスクを任せることができます。
Google Chat の AI 機能は Gemini によって動作します。Business Standard 以上のプランでは、Gemini がホームビューからの未読の会話の要約、メッセージの翻訳、返信の下書き支援、会話内での共有ドキュメントに関する質問への回答を実行できます。また、Gemini アプリに Google Chat が組み込まれているため、Gemini に質問して Chat の会話を活用した回答を得ることもできます。これらの機能を利用するには Business Standard 以上のプランが必要です。Business Starter では利用できる Gemini の機能が限定されています。
Slack と Google Chat の比較 : セキュリティとプライバシー
Slack と Google Chat はどちらも、保存時と転送時の暗号化、FedRAMP 認定、SOC 2、HIPAA、ISO 27001 などのコンプライアンス認定を備えており、エンタープライズレベルのセキュリティ基準を満たしています。
Slack は FedRAMP Moderate 認定を取得しており、公共部門の組織向けの GovSlack は FedRAMP JAB High 認定を取得しています。Enterprise Key Management を利用すれば、暗号化キーをきめ細かく管理して、いつでもデータへのアクセス権を無効にできます。Slack AI はすべて自社内で運用されています。モデルは Slack 独自のインフラストラクチャで実行され、ユーザーのデータがモデルのトレーニングに使われることはありません。
Google Workspace は FedRAMP High P-ATO 認定を取得しており、上位プランではクライアント側の暗号化、データリージョン、データ損失防止制御機能を利用できます。DLP、Vault、エンタープライズエンドポイント管理は、Business Plus または Enterprise プランで利用できます。
どちらのプラットフォームも、規制の厳しい業界のコンプライアンス基準を満たしています。違いは、暗号化キーをどれだけ自分で直接管理できるかや、ユーザーの AI データがどこで処理されるかという点です。
Slack と Google Chat の比較 : 料金プラン
Slack の有料プランは、1 ユーザーあたり月額 $10 未満から約 $20 までの範囲で展開されています。すべての有料プランに AI による要約とまとめが含まれています。さらにビジネスプラスプランと Enterprise+ プランでは、Slackbot、AI を活用した検索、ワークフロー生成を利用できます。複雑な要件のある組織向けに、Enterprise Grid 料金プランも用意されています。
Google Chat は Google Workspace の全プランに含まれており、料金は 1 ユーザーあたり月額約 $7 から $22 以上で、エンタープライズ向けの料金プランもあります。Google Chat で Gemini のすべての機能を利用するには、Business Standard 以上のプランが必要です。Workspace では Gmail、Google ドライブ、Google Meet などのツールがセットで提供されるため、これらをすべて使用する場合は検討する価値があります。主にメッセージング機能を必要としているのであれば、実際に検討しているプランで各プラットフォームが提供する機能を比較するとよいでしょう。
Slack と Google Chat の比較 : 最適な選び方
コラボレーションのスタイルや技術スタックを考慮して、最適なシステムを選ぶことが大切です。各プラットフォームにはそれぞれ明確な強みがあり、チームが現在どのツールを使っているかによって最適な選択肢が変わります。
コミュニケーションプラットフォームと一緒に、さまざまなベンダーのアプリを組み合わせて使っているチームには、Slack が適しています。その豊富なインテグレーションにより、あらゆるものをつなぐことができます。また、異なるタイムゾーンで活動するチームや、外部パートナーとのやり取りが多いチームには、Slack の非同期重視の設計やリモートコラボレーションツールがメリットになります。
Google Chat は、すでにすべての業務を Google Workspace で完結させているチームに適しています。Gmail、Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google Meet を日常的に業務に使用しているなら、管理対象のツールを増やすことなく Chat を導入できます。料金も手頃で、チームはすでにそのエコシステムをよく知っているため、導入時の摩擦を抑えることができます。
さらに詳しく検討したい場合は、Slack のチームコラボレーションツールの比較でさまざまな選択肢を確認できます。また、Slack と Microsoft Teams の比較では、もう 1 つの主要なツールとこれらのプラットフォームの違いを確認できます。
Slack は Google Chat よりも優れている?
それは、チームのワークフローや使用している他の技術、コラボレーションのスタイルによります。ツール間の連携、会社の枠を越えたやり取り、自動化などの柔軟性を求めるなら、Slack が有力なプラットフォームとなります。有料プランには AI 機能が標準搭載されており、インテグレーションのエコシステムもより充実しています。また、チャンネルベースの構造により、情報を整理したり取得したりする方法をより細かく管理できます。
組織が Google 製品をメインで使用しており、Google ドキュメントや Google Meet と並んで使用できるシンプルなメッセージングで必要なことをすべて行えるのであれば、Google Chat が適しているでしょう。ただし、チームの成長とともに優先順位は変わるものです。現在の状況だけでなく、今後のワークフローの方向性を見据えて検討することをおすすめします。
Slack が選ばれている理由を詳しく確認するか、まずは無料で始めて、組織でどのように活用できるか試してみてください。
Slack とほかのクラウドベースのコラボレーション・コミュニケーションツールの違いを知りたい方は、Slack と Microsoft Teams の比較もぜひチェックしてみてください。




