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34 万人以上の顧客を抱えるオーストラリア初のデジタル銀行 Up の Slack 活用法

「最初の着想段階からローンチを経て、私たちが生んだこの業界で一番になりオーストラリアで最も愛されるデジタル銀行になるまで、これまでの歩みに Slack は欠かせないものでした」

UpHead of TechnologyChris Aitchison 氏

Up はオーストラリアで最も高い評価を受けているバンキングアプリです。現代のオーストラリアの若者(「アップサイダー」)は、親の世代とは大きく異なる世界のなかで貯蓄や支出を行っています。このアプリはそんなアップサイダーたちのお金の管理を簡単にすることを目指して開発されました。Up のサービス開発には、ソフトウェア開発企業である Ferocia と Bendigo and Adelaide Bank との高い技術レベルで連携することが欠かせません。その実現のために、同社では高速でカスタマイズできるツールを求めていました。そんななかでスピードと拡張性を実現するシステムやテクノロジー、プロセスを構築するために選ばれたのが、チャンネルベースのメッセージプラットフォームである Slack です。

Up のサービスには、リアルタイムの支出インサイト機能を持つ普段用の口座のほかに、予算管理や支出、貯蓄、そしてオーストラリア内外への送金ができる貯蓄用口座があります。2018 年のサービス開始以来、340,000 人を超える顧客を獲得してきた同社は、顧客からの人気を誇ると同時に急成長中の銀行でもあります。

Up のコンテンツとコミュニティのリーダーである Anne Shea 氏は、「私たちのチームは野心的な目標に向かってしっかりまとまっています」と話します。「アップサイダーたちがお金の管理をシンプルにして人生で求めるものが手に入るよう、私たちは Slack をフル活用してつながり、知恵を結集させています」

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銀行業界において、サポートが応答するまでに必要な時間の平均は 4 時間から 4 日間です。一方、Up ではソーシャルメディアやアプリ内にカスタマイズされた「Talk to Us」というチャットへの応対を Slack を使ってまとめることで、平均数分での対応を実現させています。

Slack で課題をスピード解決

チームの透明性は、信頼関係の構築につながります。エンジニアは Slack を使うことでオープンに仕事を進められるようになり、すばやく課題を発見して割り当てたり、プルリクエストを作成したり、コードの質を高めたりできるようになりました。

さらにそれまでは開発、カスタマーサポート、製品デザイン、マーケティングなどのチームにナレッジやデータ、プロセスなどがサイロ化していた状態も Slack によって解消。これによって、誰もが仕事を進めているツール上で関連するアプリを参照できるようになりました。チャンネルベースの通知を使うことで、チーム全体の仕事のスピードが上がり、全社的なつながりが維持されています。

例えばカスタマーサポート担当者は、開発部門が GitHub のプルリクエストを完了したことをさっとチャンネルで確認し、問題が修正済みだということを顧客に知らせることができます。またデプロイのさらなる見える化により、新機能の追加後でもコードのすばやいリリースが顧客体験を維持することをチーム全体が確認できるようになりました。

開発チームの #deployment(#デプロイメント。本番に回されるコード)チャンネルと #outages(#機能停止。サーキットブレーカーが動作したインスタンスを記録)チャンネルは、複数の部門が確認できるもので、リアルタイムでの不具合情報とそれまでの経緯が Slack チャンネルに集約されています。「これによってチームとしてのスピードを確保できてます」と、Shea 氏は話します。「タイムラグはありません。コミュニケーション担当者は、不具合の情報が入ってきたあと、それが修正され、デプロイされるのをすべて見届けらます。次の週次会議まで待つ必要がないのです」

Slack により、Up の開発チームは 1 日に 6 回という前代未聞の頻度でコードをデプロイできるようになりました。ちなみに業界の標準では月に 1 回、高パフォーマンス群の平均でも 1 日に 4 回とされています。

開発チームは、サポート、マーケティング、広報といった部門のチャンネルに加わることで、常に自社のミッションを意識することができます。「エンジニアたちは調整やレビューが必要なコードやプルリクエストを知るためだけに Slack を使っているわけではありません」と話すのは、開発チームのリーダーである Michael Gall 氏です。「議事録の作成や会議の日時調整のほか、チームの仲間とのつながるためにも活用しています」。

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「Slack を使うことで、カスタマーサポートチームはビジネスのあらゆる面に目を向けられるようになりました。チャンネルで顧客の問題をすぐに共有できるほか、製品の機能に関する情報をほかのチームの手を煩わせずに見つけることができます」

UPCustomer Support SpecialistNick McCann 氏

Slack で顧客ロイヤルティを高め、問題を発生当日に解決

顧客の声に簡単にアクセスできれば、チームの仕事の質の高さや競争力がすぐにわかるようになります。

Zendesk による「Customer Experience Trends Report 2021」によると、高い成果を出しているサポートチームは、そうでないチームと比べて開発者と連携することが多いようです。例えば、Slack の AppFollow インテグレーションでは Up 社内の誰もがフィードバックを確認できるようになっており、このことが迅速で正確、かつ人間味のある顧客体験作りにつながっています。

集められたアプリのデータやレビュー、ダウンロード、およびアプリストアからの販売データを使えば、顧客にわかりやすい方法で問題を解決しやすくなります。「例えば #feedback(#フィードバック)という Slack チャンネルでは、 公開されているすべてのレビューを即座に集めます」と、Shea 氏は説明します。「私たちはそのすべてに目を通しています。顧客が困っていたら、全員でそれを見て、話し合い、解決するのです」

解決にかかる時間にも変化がありました。今では顧客がアプリやウェブサイトのバグについてカスタマーサポートチームに知らせると、その日中にバグを解決して反映できるようになっています。

「Slack を使うことで、カスタマーサポートチームはビジネスのあらゆる面に目を向けられるようになりました」と話すのは、Up の Support Specialist である Nick McCann 氏です。「チャンネルで顧客の問題をすぐに共有できるほか、製品の機能に関する情報をほかのチームの手を煩わせずに見つけることができます」

Slack の通知で全員に対していつでも情報を伝達できる一方で、集中する時間やオフタイムも重要です。そこで役立つのがおやすみモードなどの機能です。Slack では特に重要な情報の通知だけを受信できるよう通知設定を調整できるほか、さらにデフォルトのおやすみモード時間を設定することもできます。「チャンネルへのオプトインとオプトアウトを自由に行えるので、受け取る情報の量を調節して情報過多になるのを防ぐことができます」と、Up で Head of Marketing を務める Paul Tagell 氏は説明します。

カスタマーサポート担当者は、Slack の優れた検索機能を使うことで、ほかのアプリを開かずとも共有のナレッジベースにアクセスできます。さらに、新規顧客のサインアップから、マーケティングキャンペーンの成果やウェブサイトのパフォーマンスに至るまで、顧客関連指標の追跡も容易になり、顧客の行動や心理についてのインサイトが毎日得られます。

同社で Head of Product を務める Anson Parker 氏は、「Up はこの隙のないフィードバックの輪なしに、今のように愛される製品にはなり得なかったと断言できます」と話します。

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「Up のチームと業界のパートナーが同じ Slack チャンネルに集まることで、全員がこれから構築してリリースするものをつかめるようになります。つまり、これまで叶わなかったような会話を始められるのです」

UpCo-FounderDominic Pym 氏

Slack コネクトで業界パートナーと強力なコラボレーションを実現

デジタルバンクは、戦略的パートナーシップを通して市場開発のスピードを上げつつ、顧客のニーズにさらに応えられるようになります。Up では Slack コネクトを利用して、複数の業界パートナーと安全な Slack チャンネルで仕事を進めています。

Slack コネクトを使えば外部パートナーとの連携をすぐに開始できるため、チームは課題の対応順位をすばやく決められるほか、1 つのワークスペースで背景情報をまとめることが可能です。

2019 年に Up はオーストラリアの銀行として初めて、後払いサービスの Afterpay および国際決済サービスの Wise とのパートナーシップを公式に結びました。この連携により、顧客は重要な決定を Up アプリを離れずに行えるようになり、顧客体験を高めることができました。

Slack コネクトは、社内外のチームが最新の情報を共有し、インシデントを監視し、積極的にやり取りするのに役立っています。それはたとえ進行中のプロジェクトでも同じです。「最近ではパートナーにも毎週のデモに加わってもらっています」と話す Co-Founder の Dominic Pym 氏は、Slack のことを実務的な解決策、建設的なフィードバック、透明なコミュニケーションを促進するツールとして重宝しています。

Up は規模を拡大するなかでも透明性を維持したいと考えており、その安全性と開示性のバランスは通常の銀行から一線を画しています。同社では製品ロードマップを公開し、絶えず進化させています。このことは、顧客やパートナーとの貴重なフィードバックの輪を生み出しています。

「私たちにとって Slack のようなツールと自動化は絶対に欠かせません」と、Pym 氏は続けます。「そして、パートナーや顧客を受けとめることで生まれる、大きなファミリーのような感覚も大切にしています」。 自律性と信頼、そしてオープンさによって、Up のチームはデジタルバンキングにおける最高の体験を作り、考え、設計・構築し続けています。